『自治体職員のためのようこそ地方自治法[改訂版]』
構成が巧い。
「地方自治法」と銘打っておきながら、実定法としての地方自治法を直接的に論じているわけでも、逐条的に解説を加えているわけでもない。
著者が説明しようとする対象は『地方自治』とは何たるかで、必要の限りで、地方自治法の条文が説明に織り込まれている。
これなら、読める。
多くの地方自治法の概説書は、様々な工夫を込めてなお無味乾燥な印象を与えるものになっており、残念ながら入門者が通読するのには耐えない。
法理論としての情報量は他の概説書に劣るとしても、読んだ者に蓄積されるものが多いのは、この本であろう。
著者の思想を隠さない記述も好感が持てる。
自治体職員に対する研修の底本としての地位を確立していくのではないだろうか。