『奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』

 ドキュメンタリーを読んでいると、条例だの違反だのと書いてあるので、アクセスしてみた。

 昭和47年制定。

 りんご黒星病とか、りんごふらん病とかいった病名が当たり前のように登場するところに感じる地域性。

 責務、勧告、命令、立入検査、通報義務、助成、罰則。

 域外の者にとっては行政法の教材にするためにあるような政策条例じゃないか。  

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

 

青森県には県の条例があって、病害虫対策を怠るリンゴ畑の持ち主には反則金が科せられることになっていた。五年間も農薬を使っていない木村の畑は、ただの放置園よりも荒れ果てていたけれど、さすがに木村が条例違反だとは誰にも言えなかった。……病害虫対策を怠っているわけではないのだ。ただ、それが効いていないというだけだ」

(121頁)

 

   青森県りんご黒星病及びりんごふらん病まん延防止条例

昭和四十七年十月七日

青森県条例第四十一号

 (目的)

第一条 この条例は、りんご黒星病及びりんごふらん病のまん延を防止することにより、りんご生産の安全を図ることを目的とする。

 (りんご生産者等の責務)

第二条 りんご生産者その他のりんご樹を所有し、又は管理する者は、自らの責任において、りんご黒星病(以下「黒星病」という。)及びりんごふらん病(以下「ふらん病」という。)のまん延の防止のため必要な措置を講ずるとともに、県が実施する黒星病及びふらん病のまん延の防止に関する施策に協力するように努めなければならない。

2 りんご生産の用に供していないりんご園を所有し、又は管理する者は、そのりんご園を放置することによつて黒星病及びふらん病がまん延することのないよう、経営の委託、りんご樹の廃棄その他の黒星病及びふらん病のまん延の防止のため必要な措置を講じなければならない。 (平一二条例一二四・一部改正)

 (県の施策)

第三条 県は、黒星病及びふらん病のまん延の防止に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。 (平一二条例一二四・一部改正)

 (防除勧告)

第四条 知事は、黒星病又はふらん病がまん延してりんご生産に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その事態を除去するため必要な限度において、次の各号に掲げる者に対し、期間を定め、当該各号に規定する措置をとることを勧告することができる。

 一 りんご黒星病菌(以下「黒星病菌」という。)又はりんごふらん病菌の附着しているりんご樹(苗木を除く。以下同じ。)を所有し、又は管理する者 当該りんご樹の黒星病菌若しくはりんごふらん病菌の附着している葉、果実、枝条、樹皮等の廃棄及び当該りんご樹の薬剤による防除又は当該りんご樹の廃棄

 二 黒星病菌又はりんごふらん病菌の附着しているおそれがあるりんご樹を所有し、又は管理する者 当該りんご樹の薬剤による防除

 三 黒星病菌の附着しているりんごの苗木を所有し、又は管理する者 当該苗木の黒星病菌の附着している葉の廃棄及び当該苗木の薬剤による防除又は当該苗木の廃棄

 四 黒星病菌の附着しているりんごの穂木を所有し、又は管理する者 当該穂木の廃棄

 五 黒星病菌の附着しているおそれがあるりんごの苗木又は穂木を所有し、又は管理する者 当該苗木又は穂木の薬剤による防除

 六 黒星病菌の附着しているりんごの果実(りんご樹から分離されたものに限る。以下同じ。)を所有し、又は管理する者 当該果実の廃棄

 七 黒星病菌の附着し、又は附着しているおそれがある容器を所有し、又は管理する者 当該容器の消毒又は廃棄

2 前項の規定による勧告は、勧告を受けるべき者に対し、防除勧告書を交付して行うものとする。 (平一二条例一二四・一部改正)

 (防除命令)

第五条 知事は、前条第一項の規定による勧告を受けた者が、その勧告に従わないときは、同項の事態を除去するため必要な限度において、その者に対し、期間を定め、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

2 知事は、黒星病菌がまん延してりんご生産に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その事態を除去するため必要な限度において、黒星病菌の附着しているりんごの苗木を所有し、又は管理する者に対し、当該苗木の譲渡又は移動を制限し、又は禁止することができる。

3 前二項の規定による命令は、命令を受けるべき者に対し、防除命令書を交付して行うものとする。 (平一二条例一二四・一部改正)

 (立入検査等)

第六条 知事は、黒星病又はふらん病のまん延を防止するため必要があると認めるときは、職員に、りんご樹、りんごの苗木、りんごの穂木、りんごの果実又は容器が存する場所に立ち入り、これらの物件を検査させ、又は検査のため必要な最少量に限り、りんご樹の葉、果実、枝条、樹皮等、りんごの苗木、りんごの穂木、りんごの果実若しくは容器を収去させることができる。

2 前項の規定により立入検査又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

 (通報義務)

第七条 黒星病又はふらん病の発生を認めた者は、遅滞なくその旨を知事に通報しなければならない。

 (助成)

第八条 県は、市町村が黒星病又はふらん病のまん延の防止に関する施策を実施する場合には、当該施策の実施に要する経費のうち知事が必要と認めるものについて、予算の範囲内において、補助金を交付するものとする。 (平一二条例一二四・一部改正)

 (適用除外)

第九条 第四条及び第五条の規定は、法律で定めるところにより防除が行なわれる場合は、適用しない。 (罰則) 第十条 第五条第一項又は第二項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

2 第六条第一項の規定による検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二万円以下の罰金に処する。

3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各同項の罰金刑を科する。 (平四条例一七・平一二条例一二四・一部改正)

 (施行事項)

第十一条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

   附 則

 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第四条から第六条まで、第九条及び第十条の規定は、昭和四十七年十一月一日から施行する。

   附 則(平成四年条例第一七号)

 この条例は、平成四年五月一日から施行する。

   附 則(平成一二年条例第一二四号)

1 この条例は、平成十二年四月一日から施行する。

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。