『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』

 学生時代、「内田民法」は使わなかった。

 自分が教わった教授は、「アレだけ読んでてもあかん」と言っていた。

 当時は、「だけ」も何も、複数冊に手を伸ばす余裕などなかったから、「流行り」のこの本を開く機会はなかった。

 しかし、いざ紐解いてみると、流行るには流行るだけの理由があることがわかる。

 

民法I 第4版: 総則・物権総論

民法I 第4版: 総則・物権総論

 

法律学の学説は、自然科学のように単に書かれた内容だけの勝負でなく、対象が人間関係であるだけに、それを説く学者の全人格的な表現という側面をもっているからだとみるべきなのかもしれない(自然科学の天才には奇人・変人も少なくないが「非常識な優れた法学者」はちょっと考えられない).」(5頁)

「実は法の解釈も同様で、これまでに形成された法規範の体系と整合的でありつつ、しかも、政治的・社会的な価値の点で、優れた創造的解釈をめざさなければならない。それは、決して解釈者の自由な価値判断ではなく、価値によって拘束された創造だ、といえる.」(9頁)